溶連菌と診断されたら読んでください!【症状・治療・登園登校の目安を小児科医が解説】

「溶連菌に感染しています」と言われると、

「どのくらいで治るの?」
「抗生剤って何日も飲ませないといけないの?」
「いつから保育園・学校に行っていいの?」

と、次から次へと疑問がわいてきますよね。

溶連菌感染症は、子どもによくみられる細菌感染症のひとつです。正しく治療すれば多くの場合は数日で症状が改善しますが、抗生剤の飲み方を誤ると、重い合併症につながることがあります

この記事では、溶連菌感染症の症状から、抗生剤治療がなぜ大切なのか、登園・登校の目安、再受診が必要な注意サインまで、小児科医の視点でわかりやすく解説します。

病院で一通り説明されても、全部覚えることは難しいと思うので、ぜひこちらを見返してください。

溶連菌感染症とは

溶連菌は、のどや皮膚に感染する細菌の一種です。
正式には「A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)咽頭炎」と呼ばれることが多く、特に4~5歳以上の子どもに多くみられますが、乳幼児がかかることもあります。

かぜの多くはウイルスが原因で、抗生剤は効きません。しかし溶連菌は細菌感染症であるため、抗生剤がしっかり効きます。この「抗生剤が効く」という点が、治療のうえでとても重要なポイントになります。

溶連菌の主な症状

溶連菌感染症では、次のような症状がみられます。

  • 発熱(38℃以上の高熱が出ることが多い)
  • のどの痛み
  • いちご舌(舌がイチゴのようにブツブツと赤くなることがある)
  • 発疹(体や手足に細かい赤い発疹が出ることがある)
  • その他にも、頭痛、腹痛、嘔吐をともなうこともある

かぜと違って咳や鼻水はあまり目立たず、「のどの痛み」「高熱」が中心の症状であることが多いのが特徴です。

検査方法(迅速抗原検査)

溶連菌感染症が疑われる場合は、のどをこすって行う「迅速抗原検査」で診断することが多いです。5〜10分程度で結果がわかり、その場で溶連菌かどうかを判断できます。

治療の基本は抗生剤、必ず飲み切りましょう

多くは1〜2日で症状が改善します

溶連菌感染症は抗生剤がよく効く病気です。のどの痛みや高熱といった症状も、抗生剤の内服を始めてから多くの場合1〜2日ほどで改善していきます。

熱が下がり、のどの痛みも軽くなってくると、「もう治ったのでは」と感じる保護者の方も多いのですが、ここが溶連菌治療でいちばん大切な注意ポイントです。

抗生剤は必ず最後まで飲みきってください

症状が良くなったからといって、自己判断で抗生剤を途中でやめてしまうのは絶対にやめましょう。

日本やアメリカでは、アモキシシリン(商品名:サワシリン、ワイドシリンなど)を10日間内服する治療が主流です。症状が改善しても、処方された分は最後まで飲みきってください。

なぜ10日間も飲む必要があるの?

溶連菌はきちんと治療しないと、「リウマチ熱」という非常に重篤な合併症を起こすことがあります。リウマチ熱は、心臓に炎症が及び、後遺症を残すことがある非常に重篤な病気です。

抗生剤を10日間しっかり飲みきることで、このリウマチ熱の発症を予防できることがわかっています。指示された期間はしっかり飲みきることが、将来の合併症を防ぐことにつながります。

まれに起こる腎臓の合併症(急性糸球体腎炎)にも注意

溶連菌感染症では、まれに腎臓に炎症が及ぶ「急性糸球体腎炎」という合併症を起こすことがあります。血尿が出たり、体にむくみが出たりすることがあります。

注意したいのは、この腎臓の合併症は、抗生剤をきちんと飲みきっていても防ぎきれない場合があるという点です。抗生剤を最後まで飲んでいたとしても、次のような様子がみられたら、念のため小児科を受診してください。

  • まぶたや足がむくむ
  • 尿の色が赤い、または茶色っぽい
  • 尿の量が減っている
  • 頭痛がする

溶連菌感染症にかかったあと2〜3週間後に症状が出やすいので、こうした様子がないか気にかけておくと安心です。

登園・登校はいつから?

溶連菌感染症にかかった場合、登園・登校を再開する目安は次の2つです。

  • 抗生剤を飲み始めてから24時間以上経過している
  • 熱が下がり、本人が元気になっている

①と②の両方を満たしていれば一般的には登園・登校してもOKです。

通常、抗生剤の内服を開始してから24時間が経つと、周囲にうつす感染力はほとんどなくなるといわれています。ただし、園や学校によって独自のルールがある場合もあるため、心配な場合はかかりつけ医や園・学校に確認しておくと安心です。

こんな症状が出たら再受診を

抗生剤を飲み始めても、次のような様子がみられる場合は、喉の奥に膿がたまる「扁桃周囲膿瘍」などを起こしている可能性があります。様子を見ずに、すぐに小児科を受診してください。

  • 抗生剤を飲んでいるのに3日たっても熱が続く
  • ものを飲み込めないくらい、のどが痛い
  • 口からよだれがダラダラと垂れてくる
  • 首が腫れたり、痛みが強い

きょうだいや家族にうつさないために

溶連菌はせきやくしゃみによる飛沫感染、また接触感染でうつります。家庭内で気をつけたいポイントは次のとおりです。

  • こまめな手洗いを徹底する
  • タオルや食器の共有を避ける
  • せきエチケット(マスク・咳の際に口を覆う)を心がける

抗生剤を飲み始めてから24時間ほどは感染力が残っているため、この期間はとくに家族内での感染対策を意識しましょう。

溶連菌は何度も感染することがある

溶連菌感染症は、一度かかったら二度とかからない病気ではありません。同じ子が、年に何度も溶連菌にかかることもあります。

理由は、溶連菌には非常に多くの「型」が存在するためです。溶連菌は表面にある「M蛋白」というタンパク質の違いによって、200種類以上の型があります。

一度溶連菌にかかって免疫ができても、それは今回感染した型にしか効果がなく、別の型の溶連菌に対しては防御できません。つまり、型の異なる溶連菌に出会うたびに、新たに感染してしまう可能性があるということです。

なお、繰り返し溶連菌感染症にかかることそのものが、体に大きな悪影響を及ぼすわけではありません。ただし、そのつどきちんと抗生剤を最後まで飲みきり、リウマチ熱を予防することが大切です。

よくある質問

Q. 熱がなくても、のどが痛いだけで溶連菌のことはありますか?
A. あります。溶連菌感染症は高熱をともなうことが多いですが、微熱程度、あるいは発熱がないケースもあります。のどの痛みが強い場合は、小児科を受診し検査を検討してもらいましょう。

Q. 抗生剤で熱が下がったので、途中でやめてもいいですか?
A. やめないでください。症状がなくなっても体の中に溶連菌が残っていることがあり、途中で中断するとリウマチ熱などの合併症のリスクが上がる可能性があります。処方された分は必ず最後まで飲みきりましょう。

Q. 溶連菌は何度もかかりますか?
A. はい、何度もかかることがあります。溶連菌には200種類以上の型があり、違う型の溶連菌に出会うたびに再感染しうるからです。

まとめ 抗生剤を最後まで飲みきることが何より大切

溶連菌感染症は、抗生剤がよく効き、多くの場合1〜2日で症状が改善する病気です。

ただし、

  • 症状が良くなっても抗生剤は最後まで飲みきる(多くは10日間)
  • 飲みきることでリウマチ熱という重い合併症を防げる
  • 腎臓の合併症は抗生剤を飲みきっていても起こることがあるため、むくみや尿の変化に注意する
  • 登園・登校は「抗生剤開始から24時間以上」かつ「解熱して元気」が目安
  • 熱が続く、のどの痛みが強すぎる、よだれが垂れる、首が腫れるときはすぐに再受診
  • 溶連菌には多くの型があり、免疫は型ごとにしか働かないため、何度も繰り返し感染することがある

という点を押さえておくことが、お子さんを合併症から守ることにつながります。心配なことがあれば、遠慮なくかかりつけの小児科に相談してくださいね。

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免責事項
この記事は、一般的な医療情報の提供を目的としたものです。個別の診断や治療を行うものではありません。
実際の治療方針や登園・登校の可否は、お子さんの症状の経過や通っている園・学校のルール、地域の医療体制によって異なります。症状が強い場合や判断に迷う場合は、医療機関やかかりつけ医に相談してください。

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たっち先生 
小児科専門医/2児のパパ。
子どもの病気についてわかりやすく解説する情報を、InstagramやブログなどSNSで発信中。毎日の育児、本当にお疲れさまです。一緒に子どもの病気について学んでいきましょう。

参考文献

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 Gerber MA, Baltimore RS, Eaton CB, et al. Prevention of Rheumatic Fever and Diagnosis and Treatment of Acute Streptococcal Pharyngitis: A Scientific Statement From the American Heart Association. Circulation. 2009;119(11):1541-1551.

 Wannamaker LW, Rammelkamp CH Jr, Denny FW, et al. Prophylaxis of acute rheumatic fever by treatment of the preceding streptococcal infection with various amounts of depot penicillin. Am J Med. 1951;10(6):673-695.

 Rodríguez-Iturbe B, Musser JM. The current state of poststreptococcal glomerulonephritis. J Am Soc Nephrol. 2008;19(10):1855-1864.

 Steer AC, Law I, Matatolu L, Beall BW, Carapetis JR. Global emm type distribution of group A streptococci: systematic review and implications for vaccine development. Lancet Infect Dis. 2009;9(10):611-616.

 American Academy of Pediatrics. Group A Streptococcal Infections. In: Kimberlin DW, Barnett ED, Lynfield R, Sawyer MH, eds. Red Book: 2021-2024 Report of the Committee on Infectious Diseases. 32nd ed. Itasca, IL: American Academy of Pediatrics; 2021.

文部科学省令. 学校保健安全法施行規則(学校において予防すべき感染症の種類及び出席停止の期間の基準)

 日本小児科学会. 学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説(溶連菌感染症の項).