手足口病とは?原因ウイルスや症状、ヘルパンギーナとの違いを小児科医が解説

毎年夏になると流行する手足口病
主に5歳以下(特に2〜3歳以下)の乳幼児に多くみられる夏かぜの一種です。
この記事では、手足口病の原因ウイルスから症状、混同されやすい「ヘルパンギーナ」との違い、家庭でのケア方法、受診の目安まで、小児科専門医の視点でまとめました。


手足口病とは?

手足口病は、その名前の通り、発熱とともに手のひら・足の裏・口の中に発疹や水ぶくれができるウイルス感染症(いわゆる風邪の一種)です。

ただし、すべての部位に必ず発疹が出るわけではなく、手だけの場合や、口だけの場合もあります。
また、腕や太もも、お尻に出ることもよくあります。

毎年に流行し、特に7月後半に患者数がピークを迎える傾向があります。

2〜3歳以下の乳幼児がかかりやすい病気ですが、免疫を持たない年長児や大人にうつることもあるため、家族内では兄弟だけではなく、ママ・パパも感染に注意が必要です。手洗い・うがいをしっかりしましょう。

手足口病の原因ウイルスは?

手足口病は、エンテロウイルスコクサッキーウイルスというウイルスが原因で引き起こされます。

その中にもたくさん種類があり、
例えば、コクサッキーウイルスの中でもAとBに分かれていて、Aの中でもさらにA1型、2型、3型……いうように、様々な型のウイルスがあります。

これらのウイルスに感染して、発熱+手・足・口に発疹が出る病気のことを手足口病と呼びます。

なので、1シーズンのうちでも複数回手足口病にかかることがあります。(1回目はコクサッキーA6型に感染し、2回目はコクサッキーA16型に感染など)

同じ手足口病でも、感染するウイルスの型によって、爪がはがれることがあったり、水疱がひどくなったり、ごく稀ですがウイルス性髄膜炎を起こしたりすることがあります。

手足口病の主な症状

発疹・水ぶくれ

手・足・口の中を中心に、小さな水ぶくれのような発疹が現れます。
ひざやお尻、太ももなどに広がることも珍しくありません。

発熱

熱が出ても38度程度にとどまることが多く、そもそも熱が出ないケースもあります。
高熱が続く場合は、後述する受診の目安を参考にしてください。

実は一番つらいのは「口の中」

僕の経験上、手足口病でもっとも子どもがつらそうにするのは、口の中にできる口内炎です。
飲んだり食べたりするたびに痛みを感じるため、
水分を摂るのを嫌がってしまうこともよくあります。
この口の痛みへの対応が、家庭でのケアの大きなポイントになります。

ヘルパンギーナとの違いは?

*少し難しい内容になるので、特に気にならない人はここを飛ばして、「治療法」へ進んでください。

手足口病とよく似た病気にヘルパンギーナがあります。

どちらも夏に流行し、原因も同じコクサッキーウイルスが中心なので、症状も少し似ています。

両者の違いは、簡単にいうと、
口(喉)だけに発疹が出たらヘルパンギーナ
・手足にも発疹が出たら手足口病

です。

ではなぜ、同じコクサッキーウイルスに感染しても、ヘルパンギーナとして発症する人と、手足口病として発症する人がいるのでしょうか。

理由①
同じコクサッキーウイルスでも様々な型があり、
型の違いよって手足口病として発症したり、
ヘルパンギーナとして発症したりする人がいます。

理由②
同じウイルスに感染しても、その子の免疫や体質によって、口(喉)だけに発疹が出る子と、手足にも発疹が出る子がいます。
そういった場合に、口(喉)だけに発疹がでたら「ヘルパンギーナ」、手足にも発疹が出たら「手足口病」と診断をします。

なので、「最初は喉だけの発疹でヘルパンギーナと診断されていたけど、徐々に手足にも発疹が広がってきてあとから手足口病と診断された」ということもあります。

これは最初の診断が間違っていたわけではなく、原因のウイルスは同じでも、その時点でのどだけの発疹であれば「ヘルパンギーナ」という診断名になり、手足にも発疹が出てきたら「手足口病」という診断名になるからです。

細かい違いは下で表にしてみたので、興味のある方は見てください。

項目手足口病ヘルパンギーナ
主な原因ウイルスコクサッキーA16型・A6型、エンテロウイルスなどコクサッキーA群の様々な型
発熱37〜38度程度の微熱、または熱が出ないことも39〜40度の高熱が突然出ることが多い
発疹の部位口の中に加え、手のひら・足の裏・ひざ・お尻など体にも発疹が出るのどの奥(口の奥)が中心で、手足には発疹が出ない
のどの痛み口内炎による痛みはあるが、比較的軽いこともあるのどの痛みが強く、つらそうに見えることが多い

治療法

手足口病はウイルスが原因で、ウイルスそのものをやっつける治療薬はありません。
多くの場合、自然に治っていく病気です。

次のようなお薬で症状を和らげながら、自分の免疫で治るのを待ちます。

  • 高熱や口の痛みがつらいときは解熱鎮痛薬を使用
  • 発疹のかゆみが強く、掻きむしってしまう場合は塗り薬を使用

家庭でできるケア

自宅でのケアで最も大切なのは、脱水を防ぐためにしっかり水分を摂ることです。お茶でもジュースでも構いません。

口の中の痛みで食事を嫌がる場合は、次のような「しみにくく、口当たりのやわらかいもの」を少しずつ試してみましょう。

  • ゼリー
  • プリン
  • すりおろしたリンゴ

などがいいと思います。(僕の子供が手足口病になって、のどが痛かった時でも食べてくれたものです。)

痛みが強くて水分も食事も進まない場合は、無理をさせず解熱鎮痛薬を使うことも選択肢のひとつです。

こんなときはすぐに小児科を受診しましょう

手足口病と診断された後でも、次のような様子が見られる場合はすぐに小児科を再受診してください。

  • 水分が摂れない(普段の半分以下が目安)
  • 熱が5日以上続く
  • 発疹がジュクジュクしてきた

特に「水分が摂れない」状態は脱水につながるため、様子見をせず早めの受診が安心です。

通常手足口病であれば3日以内程度で熱が下がることが多いので、5日以上続く場合には、単なる手足口病ではない可能性があります

発疹がジュクジュクしている場合には、引っ掻いてしまい、そこから細菌が感染して「とびひ」になっている可能性があります。

登園の目安

手足口病には、インフルエンザのような法律で定められた決まった出席停止期間はありません。元気になれば登園して大丈夫です。

小児科医がよく登園の目安としているのは、次の状態です。

  • 熱が下がって24時間以上経過している
  • 普段どおり食べたり飲んだりできている

発疹が残っていても、上記の状態であれば登園できることが多いですが、園によって独自のルールを設けている場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。

家庭内での感染を防ぐには

手足口病は、咳やくしゃみと一緒にウイルスが飛び散り、それにより感染します(飛沫感染と言います)。
感染予防のためには、ママ・パパはマスクをしたり、手洗いうがいを徹底するのがいいと思います。

また、手足口病の原因ウイルスは便中からも出てきます。症状が改善してからも、便中のウイルスは最大で1か月くらい排泄されるといわれています。
おむつを替えた後等は、特に手洗いを徹底しましょう。

まとめ

手足口病は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどが原因の、夏に流行しやすい子どもの感染症です。

自宅では水分補給を第一に、口の中が痛くて食べられないときはしみにくい食べ物を少しずつ。水分が摂れない・熱が5日以上続く・発疹がジュクジュクするといったサインがあれば、すぐに小児科を再受診してください。

毎日の育児、本当にお疲れさまです。子どもの病気について正しい知識を持っておくことは、いざというときの安心につながります。今後もママ・パパに役立つ子供の病気に関する情報を発信していきますので、ぜひ一緒に学んでいきましょう。