【小児科専門医が解説】子供の虫よけの選び方|ディートとイカリジンの違い・年齢別の使い方

夏になると悩むのが、子どもの虫よけ。
「なんとなく」で選んでいませんか? 

蚊に刺されると、かゆいだけでなく、掻きこわして“とびひ”の原因になることもあります。

この記事では、小児科専門医・2児のパパである「たっち先生」が、医学的な根拠にもとづいて、子どもに安全で効果的な虫よけの選び方をわかりやすく解説します。

なぜ子どもに虫よけが必要なの?

子どもは大人よりも、蚊に刺されたときの反応が強く出やすく、赤く大きく腫れることがあります。
さらに、かゆくて掻きこわすと、傷から細菌が入り、“とびひ(伝染性膿痂疹)”になることもあります。

つまり虫よけは、「かゆみ対策」であると同時に、「皮膚トラブルの予防」でもあるのです。だからこそ、しっかり刺されないようにガードしてあげることが大切です。

虫よけの有効成分は、日本では「2つ」だけ

たくさんの虫よけが売られていますが、日本で“肌に使う虫よけの有効成分”として国に承認されているのは、次の2つだけです。

①ディート
②イカリジン

「天然由来」「ハーブ」などをうたった商品もありますが、多くは“雑貨”として売られていて、有効成分としての根拠は弱めです(詳しくは後述します)。

たっち先生
たっち先生

まずはディートとイカリジンの2つの特徴を知っておけば大丈夫です。
それでは順番に見ていきましょう!

①ディート

ディートは60年以上世界中で使われてきた、最も実績のある成分です。

大きな強みは、効く虫の範囲が広いこと。
はもちろん、ブユ(ブヨ)・アブ・マダニに加え、ノミ・イエダニ・トコジラミ・ヤマビルなど、アウトドアで出会う多くの虫に対応できます。

ディートの「年齢・回数ルール」(日本)

ただし日本では、ディートに月齢・回数・濃度の使用制限があります。

  • 生後6か月未満:使用しない
  • 生後6か月〜2歳未満:1日1回まで
  • 2歳〜12歳未満:1日1〜3回まで
  • 濃度30%の高濃度タイプ:12歳未満には使用しない

こうした制限がある理由は、「皮膚への刺激が強いから」ではなく、赤ちゃんは皮膚のバリアが未熟で成分を吸収しやすいことや、高濃度・過剰な使用でのまれな影響への配慮からです。

顔や手には直接塗らない口に入ったり目に入ったりを防ぐため、大人の手に取ってから薄くのばす)ことも大切です。

また、服やプラスチックに直接かかると痛めてしまうことがあります。

たっち先生
たっち先生

正直、小さい子供には使いにくいです

②イカリジン ― 赤ちゃんにも使いやすい

もう一つがイカリジン。
日本では年齢や回数の制限が定められておらず、生後6か月未満の赤ちゃんにも使いやすいのが最大の魅力です。においが少なく、服やプラスチックを傷めにくいのも利点です。

への効果はディートに近いと報告されていますが、対応できる虫の範囲はディートよりやや狭く、蚊・ブユ・アブ・マダニが中心です(シラミ・ヒルなどには効きにません)。

たっち先生
たっち先生

日常生活なら、これで十分に頼れます。

濃度は「強さ」ではなく「持続時間」

虫よけ選びで意外と知られていないのが、濃度の意味です。濃度が高いほど“強く効く”のではなく、効果が“長持ちする”ということ。つまり濃度は「効き目の強さ」ではなく「持続時間」を表します。

持続時間の目安(製品により差があります)

・ディート 10%:約3時間 / 30%:約6時間(高濃度タイプは約5時間以上)

・イカリジン 5%:約6時間 / 15%:約8時間

選び方のコツは、シーンに合わせること。
近所での短いお散歩なら低めの濃度で十分ですし、公園やキャンプなど長時間の外出には高めの濃度が便利です。汗をかいたり時間がたったら塗り直すと、効果が保てます。もちろん、前述の年齢・回数の制限の範囲内で選びましょう。

「天然由来」成分の注意点

「天然由来」「アロマ」「ハーブ」と書かれていると、なんとなく安心で効きそうに感じますよね。
でも、注意が必要です。

ハッカ油シトロネラ油などの精油タイプは、効果の持続が短め(10~20分しかもたないといわれています)。

・貼るだけの「虫よけシール」や「超音波アプリ」は、十分な忌避効果が確認されていません。

レモンユーカリ由来の成分(OLE・PMD)は比較的効果が報告されていますが、皮膚への刺激の強さから、3歳未満には使わないことがお勧めされています。

「天然だから安心・よく効く」とは限りません。
天然の方が危険な場合もあります。
しっかり安全に防ぎたいなら、やはりディートかイカリジンが基本です。

結局どう選ぶ? ― かんたん使い分け

・赤ちゃん・ふだんの街なかでの蚊よけ → 年齢制限のない「イカリジン」が使いやすい

・山・川・キャンプなど、幅広い虫が心配なとき → 対応範囲が広い「ディート」(お子さんの年齢・回数の制限に注意)

まとめ

・日本で肌に使える虫よけの有効成分は「ディート」と「イカリジン」の2つ。

・ディートは効く虫が幅広いが、年齢・回数・濃度に制限あり(6か月未満は使えない)。

・イカリジンは赤ちゃんにも使いやすく、迷ったときの第一候補。

たっち先生
たっち先生

たっち先生は小さい子供にはイカリジンがお勧めと考えています。

・濃度は「強さ」ではなく「持続時間」。

・「天然由来」は効果が短いことや、3歳未満に注意な成分もあるので注意

正しく選んで、この夏も親子で快適に過ごしましょう。

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免責事項

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さんの年齢・体質・肌の状態によって適切な製品や使い方は異なります。虫よけ製品は、必ず各製品の表示・添付文書に従ってご使用ください。気になる症状や使い方に迷うときは、自己判断せず、かかりつけの医師・薬剤師にご相談ください。

参考文献

1) Fradin MS, Day JF. Comparative efficacy of insect repellents against mosquito bites. N Engl J Med. 2002;347(1):13–18. doi:10.1056/NEJMoa011699.

2) Van Roey K, Sokny M, Denis L, et al. Field evaluation of picaridin repellents reveals differences in repellent sensitivity between Southeast Asian vectors of malaria and arboviruses. PLoS Negl Trop Dis. 2014;8(12):e3326. doi:10.1371/journal.pntd.0003326.

3) Koren G, Matsui D, Bailey B. DEET-based insect repellents: safety implications for children and pregnant and lactating women. CMAJ. 2003;169(3):209–212.

4) American Academy of Pediatrics (AAP). Choosing an Insect Repellent for Your Child. HealthyChildren.org.

5) U.S. Centers for Disease Control and Prevention (CDC) / U.S. Environmental Protection Agency (EPA). EPA-registered insect repellent active ingredients (DEET, picaridin, oil of lemon eucalyptus/PMD, IR3535).

6) 厚生労働省.ディートを含有する医薬品及び医薬部外品の使用上の注意(小児への使用年齢・回数の制限に関する通知).