赤ちゃんのうんちの回数は、「1日1回以上」が好ましいとよく言われます。
しかし、「1〜2日うんちが出ていない」「お腹が張っている」「きばっているのに出ない」など、新生児から乳児期にかけて、赤ちゃんの便秘に悩む保護者はとても多いです。
母乳やミルクだけで過ごすこの時期は、腸の動きがまだ未熟であり、上手にきばることもできないため、便秘気味になるのはめずらしいことではありません。
そんなときに家庭でできる対処法のひとつが、今回ご紹介する 「綿棒浣腸」 です。でも、
「なんとなく知っているけれど、自信がない」
「どのくらい綿棒を入れていいのかわからず不安」
という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、小児科専門医が、綿棒浣腸をするにあたって、準備するものから手順、注意点まで分かりやすくお伝えします。
綿棒浣腸とは
綿棒浣腸とは、綿棒の先端にオイルをつけて赤ちゃんの肛門を刺激し、排便を促す方法です。
ポイントは、「肛門の内側の粘膜をしっかりとこする」ということです。
「なでるだけ」「触れるだけ」では効果が出にくいです。
綿棒浣腸をする目安
以下のようなサインが見られたら、綿棒浣腸を検討するタイミングです。
- 1〜2日以上、排便がない
- お腹が張っている
- いきんでいるのに便が出ない
- 機嫌が悪く、ぐずりが続く
これら一つでも当てはまる場合には、
綿棒浣腸を試してみる価値はあると思います!
準備するもの
- 綿棒
- オリーブオイル
綿棒は大人の耳かき用のよくあるやつでOKです。
オリーブオイルはスーパーにある普通のやつでOKです。ワセリンやベビーオイルでも大丈夫です。
綿棒浣腸の手順
- 綿棒の先端に、オイルをたっぷりとしみ込ませる
- 赤ちゃんを仰向けやおむつ替えの体勢にし、リラックスさせる
- 綿の部分が全部肛門に隠れるくらいの深さまで、無理のない力でゆっくり挿入する

- 綿棒の側面全体を使うイメージで、円を描くように優しく動かし、肛門周りをしっかり刺激する

- 20~30秒くらいを目安に行う
- 排便があっても、そこから5秒くらいは刺激を止めない
ポイントとしては、綿棒の側面全体を使って、綿棒を平行移動させるイメージで円を描くことです。
やってしまいがちなNGポイントは、綿棒の先端だけをちょんちょんと当てるような刺激の仕方です。これでは十分な刺激にならず、なかなか排便につながりません。綿棒の側面全体を使い、しっかり刺激することを意識してみてください。
綿棒浣腸をしたからと言って毎回必ず便が出るわけではありません。30秒ほどやって出なければ、いったん中止して、数時間後にまたやってみましょう。
綿棒浣腸をするときの注意点
①赤ちゃんが動かないよう、足をしっかりとおさえる
綿棒浣腸中に赤ちゃんが暴れてしまうと、綿棒が深く入りすぎたり、粘膜を傷つけたりする原因になってしまいます。足はしっかりとおさえておきましょう。
②出血や強い抵抗感がある場合はすぐに中止する
綿棒で粘膜をこする処置のため、粘膜から少量の出血があることもあります。 綿棒に付着する程度の出血で、どんどん出てくる様子がなければご自宅で様子をみても大丈夫なことがほとんどですが、ご心配であれば小児科を受診しましょう。
③効果がない状態が続く、体重が増えない、嘔吐を伴うなど気になる症状があれば自己判断せず早めに小児科を受診する
この場合、単なる便秘ではない可能性があります。小児科で相談してください。
綿棒浣腸でなぜうんちが出るのか
まずは通常のうんちが出るステップを解説します。
- 便が直腸(肛門の近く)まで到達すると、直腸の粘膜が伸びる
- 直腸の粘膜が伸びたのを神経が感知する
- 直腸の筋肉が収縮し、同時に肛門が緩んで広がる
- うんちが肛門から出る

この一連の流れを「排便反射」と言います。
私たち大人は、直腸に便がたまって排便反射が起こると、便意を感じます。そして、自分の意思でお腹に力を入れて腹圧を高めるとともに、肛門の周りの筋肉を緩めて、便を外へ出します。
しかし、小さい赤ちゃんは、お腹に力を入れることと、肛門の周りの筋肉を緩めることの連携がまだ上手ではありません。そのため、一生懸命きばっても便が出ないことがあります。
綿棒浣腸とは、綿棒で物理的に肛門の内側の粘膜を刺激することで排便反射を起こりやすくして、うんちを出す方法です。
ですので、綿棒をちょんちょんつつくだけ、優しく触れるだけでは効果はあまりありません。しっかりと綿棒の側面全体を使って粘膜を刺激するのがポイントです。
よくある質問
Q. 綿棒浣腸はクセになりますか?
A. クセになりません。
便秘の状態が長く続くと、直腸が便でふくらんだ状態に慣れてしまい、便意を感じにくくなって、さらに便秘傾向になってしまうといわれています。綿棒浣腸でしっかりとうんちを出してあげることで、結果的に赤ちゃんの便秘解消につながります
Q. 綿棒浣腸は1日に何回までしていいですか?
A. 回数制限は特にありません。
お腹が張って苦しい赤ちゃんの場合、病院では1日8回くらいやるような赤ちゃんもいます。それくらい安全に行える処置です。
ただ、ご自宅でやる場合は、基本的には1日3回以内程度を目安にしましょう。それでも出なければ小児科で相談するのがいいと思います。
Q. 綿棒浣腸をしても便が出ないときはどうすればいいですか?
A. 1回で出なくても、時間をおいて再度試しましょう。
便が肛門の手前まで下りていなければ綿棒浣腸をしても便は出ません。また、刺激後しばらくしてから排便につながることもあります。
出ない場合はスパッと切り上げて、数時間様子をみて再度試してみましょう。
Q. 綿棒浣腸はいつまでできますか?
A. 目安は新生児〜生後6ヶ月頃までです。
この時期は、離乳食が始まる前後で便の性状が変わり、また赤ちゃん自身の排便コントロールも発達してくるタイミングと重なります。ただしこれは目安であり、赤ちゃんによって個人差があります。生後6ヶ月を過ぎても綿棒浣腸が頻繁に必要な状態が続く場合は、自己判断で続けず、小児科を受診して内服薬などほかの選択肢も含めて相談しましょう。
まとめ
綿棒浣腸は、多くの小児科医や助産師も紹介している、赤ちゃんの便秘に対して家庭でできるやさしい対処法のひとつです。正しい手順とちょっとしたコツを知っておくだけで、いざというときに落ち着いて対応できます。
とはいえ、赤ちゃんの様子には個人差が大きいものです。心配なことがあれば、自己判断で抱え込まず、遠慮なくかかりつけの小児科医に相談してくださいね。