水いぼは、子どもによくみられる皮膚の感染症です。
自然に治ることも多い一方で、治るまでに時間がかかったり、数が増えたり、かゆみで掻き壊してしまったりすることもあります。
この記事では、子どもの水いぼ治療について、
- 経過観察
- ピンセットでの摘除
- ワイキャンス
- その他の治療(ヨクイニンやM-BFクリーム)
の違いと、どんな場合にどの治療を考えるかをわかりやすく解説します。
水いぼとは?
水いぼは、医学的には「伝染性軟属腫」といいます。
ウイルスが皮膚に感染することによってできるいぼで、子どもに多くみられます。
見た目は、数mm程度の小さな丸いぶつぶつで、表面がつるっとしていたり、真ん中が少しくぼんで見えたりすることがあります。
水いぼ自体は、多くの場合、命に関わるような病気ではありません。
ただし、掻き壊すことで周囲に広がったり、湿疹が悪化したり、ほかの子にうつる可能性があります。
水いぼは自然に治る?
水いぼは、基本的には自然に治ります。
そのため、必ず治療しないといけない病気ではありません。
ただし、自然に治るまでには時間がかかります。
12か月で約50%、18か月で約70%が自然に治るといわれていますが、
長いと治るまでに数年かかる場合もあります。
その間に、
- 掻いてしまって周囲の皮膚に広がる
- 湿疹が悪化する
- プールや園生活で気になる
- きょうだいにうつるのが心配
といったことで、治療を考えることがあります。
水いぼの主な治療法
水いぼの治療は、大きく分けると次の3つです。
- 経過観察
- ピンセットでの摘除
- ワイキャンス
それぞれにメリット・デメリットがあります。
① 経過観察
水いぼは基本的には自然に治るため、
症状が軽く、本人も困っていなければ、経過観察も選択肢になります。
経過観察が向いている場合
- かゆみが少ない
- 本人が気にしていない
- 痛い処置は避けたい
- 特に困っていない
- 無理に治療しなくてもよいと考えている
このような場合は、無理に取らずに様子を見るのもいいと思います。
経過観察の注意点
経過観察のデメリットは、治るまでに時間がかかることです。
また、掻き壊すと周囲に広がることがあります。
そのため、経過観察をする場合でも、保湿や湿疹の治療は大切です。
肌が荒れていると、かゆみで掻きやすくなり、水いぼが広がりやすくなります。
水いぼそのものをすぐに取らない場合でも、皮膚の状態を整えることは重要です。
② ピンセットでの摘除
ピンセットでの摘除は、専用の器具を使って水いぼを1つずつ取る方法です。
古くから行われている代表的な治療です。
最大のメリットは、今ある水いぼをその場で取り除けることです。
特に、
- 数が少ない
- 早く取りたい
- 目立つ場所にある
- 掻き壊して広がりそう
という場合には、いいと思います。
デメリットは、痛みがあることです。
麻酔のテープや麻酔クリームを併用しますが、それでも痛いです。
特に水いぼの数が多い場合は、子どもにとってかなり負担になります。
また、水いぼウイルスは皮膚に感染してからいぼになるまで2週間~7週間ほどかかります。
そのため、ピンセットでの処置をする時点では、まだいぼとして見えていないものの、すでに感染している部分があることもあります。その部分までピンセットで摘除できるわけではないので、1度見えているいぼを全部摘除しても、後からその時は見えていなかったいぼが出てくることがあります。
そのため、1回取れば必ずすべて終わり、というわけではありません。
③ ワイキャンス
これまで「自然に治るのを待つ」か「ピンセットで取る」かが主な選択肢だったところに、彗星のごとく現れた新しい治療法です。
「ピンセットで取るのは痛くて難しいけれど、早く治したい」という場合の新しい選択肢として考慮する価値はあると思います。
ワイキャンスは、水いぼに対して使う塗り薬です。
有効成分はカンタリジンで、医療機関で医師が水いぼに塗る薬です。
市販薬のように、自宅で好きなタイミングで塗る薬ではありません。
ワイキャンスの使い方
ワイキャンスは、医療機関で水いぼに塗ります。
基本的な流れは次の通りです。
- 医療機関で医師が水いぼに薬を塗る
- 5分間ほど薬を塗った部分を乾かして帰宅
- 16~24時間後に、自宅で石けんと水で洗い流す
- 約3週間ごとに、必要に応じて1~3を繰り返す
薬を塗った後は、洗い流すまでの間、塗った部分を触ったり、こすったりしないように注意が必要です。
ワイキャンスはどうやって効く?

ワイキャンスを塗ると、その部分に水ぶくれができます。
その後、水ぶくれがはじけてかさぶたになり、水いぼと一緒にはがれ落ちることで、改善します。
そして、はがれ落ちた部分の皮膚が治るまでに約3週間かかります。
1回ですべて治るとは限らず、必要に応じて複数回治療することがあります。
ワイキャンスの注意点
当然ですが、薬を塗った部分に水ぶくれができます。
それが破れて正常な皮膚に戻るまでの間に痛みやかゆみが出ることもあります。
また、塗った直後にその部分を触ったりこすったりすると、正常な皮膚に薬が付着してしまい、その部分に不要な水ぶくれができてしまうこともあります。(薬を塗った後5分はじっと乾かす、16~24時間後に洗い流すまでは触ったりこすったりしないというのを守ることができれば大丈夫です。)
ヨクイニンや銀イオン配合クリーム(M-BFクリーム)はどう?
水いぼに対して、ヨクイニンという内服薬や、銀イオン配合クリーム(M-BFクリーム)などが話題になることがあります。
ただし、これらは水いぼに対する効果が十分に証明されておらず、標準治療とは言いにくい治療です。
また、水いぼに対して保険適応もありません。
「試してはいけない」という意味ではありませんが、少なくとも、
- 効果がはっきり証明されている治療ではない
- 標準治療として強く勧められるものではない
- 自費になることがある
という点は知っておいた方がよいでしょう。
よくある質問
Q:家族でうつるのを避けるにはどうしたらいいですか?
A: 水いぼに直接触れたり、水いぼから出た液がタオルなどを介して他の人の皮膚に付着したりすることで感染します。タオルや布団などの共用は避けましょう。
Q:水いぼがありますが、登園(登校)しても大丈夫ですか?
A:大丈夫です。
ただ、病変部は衣類や絆創膏などで覆い、ほかの子どもへの感染を防ぐことが望ましいです。
Q:水いぼがあるとプールはできないのですか?
A:プールもできます。
プールの水を経由して水いぼはうつらないので、プールを禁止する必要はありません。
ただ、皮膚が直接触れると感染するのでラッシュガードなどの着用が望ましいです。
また、タオルや浮き輪などを介してうつることもあるのでタオル・浮き輪の共用は避けましょう。
ただし、水泳教室や園によっては独自にルールを設けている場合もあるので、最終的にはその施設のルールに従うことになります。
まとめ
水いぼ治療に、全員にとっての正解が1つあるわけではありません。
子どもの年齢、水いぼの数、場所、かゆみの有無、本人の性格、園や学校生活での困りごと、水泳教室などの習い事によって、選び方は変わります。
基本的には自然に治りますが、治るまでに時間がかかることがあります。
治療の選び方は、次のように考えるとわかりやすいです。
- 困っていない、痛い治療を避けたい → 経過観察
- 数が少なく、すぐに取りたい → ピンセットで摘除
- ピンセットは嫌、でも早く治したい → ワイキャンスを検討
水いぼは、見た目が気になったり、園やプールで心配になったりして、親として悩むことが多い病気です。
大切なのは、「絶対に取らないといけない」「絶対に放っておくべき」と決めつけることではありません。
水いぼの数、場所、かゆみ、子どもの負担を見ながら、その子に合った方法を選びましょう。
気になる場合は、かかりつけの小児科や皮膚科で相談してください。
免責事項
この記事は一般的な医療情報であり、個別の診断や治療方針を示すものではありません。
水いぼの治療は、お子さんの状態によって選択肢が変わるため、気になる場合は小児科または皮膚科で相談してください。