離乳食の卵デビュー、注意点は4つ|固ゆで20分・卵黄から・平日の日中・体調のいい日を小児科専門医が解説

「卵、そろそろあげてみようかな。でも、何分ゆでればいいの?どのくらいの量から?」

離乳食の中でも、卵デビューはいちばん緊張する瞬間かもしれません。

卵は、早めに始めたほうがアレルギーになりにくいことが分かっています。日本では5〜6ヶ月の離乳食開始ともに卵黄から始めることが推奨されています。(👉アレルギーが心配で離乳食が遅れていませんか?卵は早く始めるほど予防になります)。

最初の一口は安全に始めたいですよね。

この記事では、卵デビューで押さえておきたい4つの注意点を、「なぜそうするのか」という理由とあわせて、小児科専門医が解説します。理由が分かると、迷ったときにも自分で判断しやすくなります。

結論:卵デビューの注意点は4つです

① 固ゆでにする:沸騰したお湯で20分以上ゆでる

② まずは卵黄から:耳かき1さじから始めて、卵黄1/2個ほど食べられたら卵白へ

③ 平日の日中に:何かあってもすぐ小児科を受診できる時間帯に

④ 体調のいい日に:かぜなどで体調が悪いと、アレルギー症状が出やすくなる

ここから、一つずつ理由を見ていきましょう。

① 固ゆでにする:沸騰したお湯で20分以上

卵は、沸騰したお湯で20分以上ゆでた「固ゆで卵」を使います。半熟や、炒り卵・卵焼きのように火の通りが読みにくい料理は、最初の一口には向きません。

理由は、しっかり加熱すると、アレルギーを起こしにくくなるからです。

卵白には、アレルギーの原因になるタンパク質がいくつか含まれています。そのうち量がいちばん多い「オボアルブミン」は熱に弱く、20分の固ゆでで大きく減ることが報告されています。日本小児アレルギー学会の提言でも、この「20分の固ゆで」を基準に話が進められています。

ただし、もう一つの原因タンパク質「オボムコイド」は熱に強く、ゆでてもあまり減りません。加熱は「アレルギーをなくす」ものではなく、「起こしにくくする」ものと考えてください。これが、次の「まずは卵黄から」につながります。

また、生や半熟の卵は、サルモネラなどによる食中毒の心配もあります。赤ちゃんには、中までしっかり火の通った卵を使いましょう。

ゆでたら、すぐに黄身を取り出しましょう

ここは意外と知られていないポイントです。

この後述べますが、卵黄よりも圧倒的に卵白の方がアレルゲン性が強いです。ゆで卵を白身ごと置いておくと、白身のタンパク質が少しずつ黄身にしみ込んでいきます。卵デビューでは、なるべく白身が混ざらないようにしたいところです。

固ゆでにしたら、冷めるのを待たずに氷水で冷やし、早めに黄身を取り出しておきましょう。
なお、生の状態で黄身と白身を分けると、黄身に白身が最大で1〜2gほどつくことがあります。茹でてから分離しましょう。卵黄から始めるときは、「固ゆでにしてから分ける」のがおすすめです。

② まずは卵黄から:耳かき1さじ→卵黄1/2個→卵白へ

厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では、離乳初期(生後5〜6か月ごろ)から「卵は卵黄(固ゆで)から進めていく」とされています。

卵黄から始めるのは、鶏卵アレルギーのおもな原因が卵白にあるからです。固ゆでの卵黄は、食べられる子が多いことが分かっています。

進め方の目安は、次のとおりです。

  1. 固ゆで卵の黄身をすりつぶして、耳かき1さじから
  2. 問題がなければ、同じ量を何回か続けてから、少しずつ増やす
  3. 卵黄1/2個ほど食べられるようになったら、固ゆでの卵白を耳かき1さじから
  4. その後は全卵で、少しずつ量を増やしていく

月齢ごとの量の目安は、こちらの記事でまとめています(👉アレルギーが心配で離乳食が遅れていませんか?卵は早く始めるほど予防になります)。

③ 平日の日中に:すぐ受診できる時間帯を選ぶ

卵デビューは、かかりつけの小児科が開いている平日の日中、できれば午前中がおすすめです。

じんましんや咳などのアレルギー症状の多くは、食べてから2時間以内に出ます。夜や休日に試すと、もし症状が出たときに、かかりつけ医にすぐ相談できません。
食物アレルギーの症状に関してはこちらをご覧ください。(子どもの食物アレルギー|食べた後に出る症状と受診目安を小児科医が解説)

さらに卵黄では、食べてから1〜4時間ほどたって、くり返し吐くタイプのアレルギーがあることも分かってきています。午前中に食べておけば、そのあとの時間も小児科が開いているうちに様子を見られます。このタイプについては、後日別の記事で詳しく解説する予定です。

④ 体調のいい日に:かぜのときは症状が出やすい

4つめの注意点は、「初めての食物を与えるときは、患者の体調のよいときに」です。

食物アレルギーは、食べた量だけで症状の出方が決まるわけではありません。かぜをひいている、疲れている、睡眠不足といった体の状態によって、症状が強く出やすくなることが知られています。

もう一つ大事なのは、見分けやすさです。かぜで機嫌が悪かったり、鼻水や咳が出ていたりすると、卵を食べたあとの変化が「卵のせい」なのか「かぜのせい」なのか分かりにくくなります。

鼻水や咳、熱があるとき、機嫌がいつもより悪いときは、卵デビューは延期して大丈夫です。元気に戻ってから始めましょう。

食べたあとに見てほしいサイン

卵を食べたあとは、しばらくお子さんの様子を見ていてください。次のような変化があれば、かかりつけ医に相談しましょう。

  • 口のまわりや体に、赤み・じんましんが出る
  • 目や唇が腫れる
  • 咳きこむ、ゼーゼーする
  • 食べて1〜4時間ほどして、くり返し吐く

ぐったりしている、顔色が悪い、呼吸が苦しそう、といったときは、ためらわずに救急を受診してください。

アレルギーの症状と受診の目安は、こちらで詳しく解説しています(👉子どもの食物アレルギー|食べた後に出る症状と受診目安を小児科医が解説)。

よくある質問

Q. 20分もゆでなきゃだめですか?10分くらいでは?
A. 卵デビューでは、20分以上をおすすめします。アレルギーの原因になるタンパク質(オボアルブミン)が、20分の固ゆでで大きく減ると報告されているためです。慣れて量が増えてきたら、ほかの料理にも少しずつ広げていきましょう。

Q. 卵黄を食べて2〜3時間後に、何度も吐きました。かぜでしょうか?
A. かぜの可能性もありますが、卵黄では、食べて1〜4時間後にくり返し吐くタイプのアレルギーがあります。自己判断で卵を続けたりやめたりせず、「何時に卵黄を食べて、何時に吐いたか」をメモして小児科を受診してください。

Q. かぜが治りかけです。いつから卵デビューしていいですか?
A. 熱や鼻水・咳がおさまり、機嫌や食欲がいつもどおりに戻ってからにしましょう。あせらなくて大丈夫です。

まとめ

  • 卵は、沸騰したお湯で20分以上ゆでた固ゆでにする(加熱でアレルギーを起こしにくくなる)
  • ゆでたら早めに黄身を取り出す
  • まずは卵黄を耳かき1さじから。卵黄1/2個ほど食べられたら、卵白を耳かき1さじから
  • 平日の日中、できれば午前中に試す
  • かぜなどで体調が悪いときは延期する

卵デビューは緊張しますが、理由が分かっていれば、こわがりすぎる必要はありません。ひとさじずつ、安全に進めていきましょう。

「うちの子の場合はどうなの?」と思ったら

ここまで、離乳食の卵デビューの注意点を解説してきました。ただ、実際の進め方は、お子さんの湿疹の状態やこれまでの食べ方、体質によって一人ひとり違います。「記事の内容は分かったけれど、うちの子の場合はどうなんだろう」と感じた方も多いのではないでしょうか。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さんの月齢や体質、湿疹の状態、これまでの経過によって適切な進め方は異なります。すでに食物アレルギーと診断されているお子さんや、湿疹がなかなか治らないお子さんは、自己判断で進めず、必ずかかりつけの医師・医療機関にご相談ください。

参考文献

・厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」

・日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」(2017年6月16日)

・厚生労働科学研究班「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2022」(第1.3版 2024年4月)

・日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2021」

・国立成育医療研究センター プレスリリース「日本の小児における食物タンパク誘発胃腸炎の実態が明らかに」(2024年4月23日)/J Allergy Clin Immunol Pract. 2024