赤ちゃんや小さな子どもが、鼻水・咳・発熱などの症状を出したときに、
「RSウイルスかも?」
「どんなときに救急受診したらいい?」
と心配になる保護者の方も多いと思います。
また、病院でRSウイルスですと診断を受けた場合に
「赤ちゃんは重症化しやすいって聞いたけど大丈夫?」
「どのくらい症状は続くの?」
「再受診が必要になる基準は?」
と家に帰ってから色々心配になってくる方もたくさんおられます。
この記事では、そんな保護者の方々にむけて、子どものRSウイルス感染症について、小児科専門医がわかりやすく解説します。
RSウイルスとは?
RSウイルスは日常にありふれたウイルスで、
日本だと2歳までにほぼ100%の子供が一度は感染するといわれています。
また、RSウイルスは一度かかれば終わりではありません。
何度も感染することがあります。
RSウイルスの主な症状
RSウイルスの主な症状は熱、咳、鼻水、痰です。
つまり、普通のよくある風邪とほとんど一緒です。
名前のよくわからない風邪ウイルスに感染して熱・咳・鼻が出る状態のことを「風邪」と呼び、
RSウイルスに感染して熱・咳・鼻が出る状態のことを「RSウイルス感染症」と呼んでいるだけです。
どちらも基本的には自然に治ります。
ただ、普通の風邪と比べると、
鼻水と痰がものすごく多いのが特徴で、
鼻がつまったり咳がたくさん出たりして、
小さい子どもにとってはかなりつらいです。
RSウイルスで、すぐに受診が必要なサイン
特に小さい赤ちゃんでは、RSウイルスは普通の風邪と比べると重症化しやすいです。
重症化する代表的なパターンを3つ紹介します。
当てはまる場合には、夜間・祝日であってもすぐに小児科を受診しましょう。
1.呼吸が苦しくなる
RSウイルスは鼻水と痰がめちゃくちゃ多くなります。
そのせいで鼻や細い気管支がつまってしまい、
呼吸がしにくくなります。
- 保護者からみて、普段より呼吸が苦しそう
- いつもより呼吸回数が多い、肩で呼吸をしている
- ゼーゼーしている
- 咳が多くて夜眠れない
という場合には、入院して酸素投与等が必要な場合もあるので、速やかに小児科を受診してください。
2.哺乳ができなくなる、水分摂取ができなくなる
鼻水・咳が多すぎて、哺乳がうまくできなくなったり、水分摂取ができなくなると、脱水状態になってしまいます。
個人的な目安としては、
哺乳量(水分摂取量)が普段の半分以下になってしまっている場合には早急に小児科の受診をお勧めします。
口から水分が摂れない場合には、点滴で水分を補充するしかありませんので、その場合も入院が必要になることがあります。
3.細菌性肺炎が合併する
RSウイルスだけの感染であれば基本的に自然に治りますが、RSウイルスに加えて細菌が感染してしまうことがあります。
正常な気管支や肺の粘膜には細菌が増殖しないように
防御機能があります。
一方、RSウイルスに感染した状態の粘膜ではその
防御機能が弱くなっています。
そのため、RSウイルスに感染しているときは細菌感染を起こしやすくなります。
細菌が感染してしまうと自然に治るのは難しく、
抗生剤の治療が必要になります。
(ウイルスと細菌の違いについては、「風邪に抗生剤は効かない!?ウイルスと細菌の違いを小児科専門医が分かりやすく解説」で詳しく解説しています)
細菌感染の合併を疑うのは
- 熱が5日以上続く
- ぐったりした状態が続く
- いったん良くなったのに、再度熱や咳が悪化する
等の場合です。
このような場合は細菌感染が合併している可能性があるので、必ず小児科を受診してください。
RSウイルスが重症化しやすい子供
特に注意が必要なのは、次のようなお子さんです。
- 生後6か月未満
- 早産で生まれた子
- 心臓の病気がある子
- 肺の病気がある子
- 免疫の病気がある子
- ダウン症など基礎疾患がある子
こうしたお子さんでは、
RSウイルスが重症化しやすいと言われています。
特に生後0~2か月のような小さい赤ちゃんの場合は、
RSウイルスに感染すると「無呼吸発作」といって突然呼吸が止まることもあるので、元気そうに見えても念のために入院で経過を見る場合もあります。
RSウイルスは何日くらいで治る?
多くの場合、RSウイルスは1週間前後で少しずつ改善していきます。ただし、咳や痰がらみはしばらく残ることがあります。
経過としては、
- 鼻水、咳、発熱などで始まる
- 数日後に咳や痰が強くなることがある
- 徐々に熱や呼吸状態が改善する
- 咳だけがしばらく残ることがある
という流れがよくあります。
熱が下がったのに咳だけが残ることもあり、長い場合は3週間ほど咳が持続することがあります。
RSウイルスの診断
診断は迅速検査なら数分で行うことができます。
鼻の奥を綿棒で擦って、RSウイルスがいるかどうかを調べます。
小児科であれば基本的にどこのクリニックでも検査をすることができます。
ただ、厳密にいうと、0歳児しか保険適応がありません。1歳以上の子供の場合、RSウイルスの検査は保険適応ではないので、検査をする場合には自費になることがあります。(ただし、症状や診察所見からヒトメタニューモウイルスなど他のウイルス感染症も疑われる場合には、複数のウイルスを同時に調べられる検査キットを使用することがあり、その結果としてRSウイルスの結果も一緒にわかることがあります。)
RSウイルスの治療法
RSウイルスを直接やっつける特効薬は、一般的にはありません。
治療の中心は、症状を和らげながら自然に回復するのを待つことです。
具体的には、必要に応じて、
- 解熱剤
- 痰を出しやすくする薬
- 水分摂取のサポート
などを行います。
抗生剤は、RSウイルスには効きません。
家でできる対応
RSウイルスで大切なのは、呼吸と水分摂取の状態をよく見ることです。
家庭では、以下のような対応が役立ちます。
鼻水を取ってあげる
赤ちゃんは鼻呼吸が中心なので、
鼻水が多いと哺乳しにくくなります。
授乳やミルクの前、寝る前などに
鼻吸いをしてあげると、少し楽になることがあります。
水分を少量ずつこまめに
一度にたくさん飲めないときは、
少量ずつこまめに飲ませます。
母乳やミルク、年齢に応じた水分を
小分けにして無理のない範囲で与えてください。
呼吸の様子を見る
熱の高さだけでなく、呼吸の状態がとても重要です。
胸やお腹を大きく使って呼吸していないか、ゼーゼーしていないか、顔色が悪くないかを見てください。
保育園はいつから行ける?
RSウイルスに感染した場合、明確に「何日休めばよい」と一律に決まっているわけではありません。
登園の目安としては、
- 熱が下がって24時間以上経過している
- 水分や食事がある程度とれている
- 機嫌がよい
- 普段の活動に近づいている
といった状態が目安になります。
咳や鼻水が少し残っていても、
熱が下がり元気であれば登園できることもあります。
ただし、園によってルールが異なることがあるため、
最終的には園の基準も確認してください。
まとめ
RSウイルスは、子どもにとてもよくみられる呼吸器感染症です。
多くは風邪のような症状で自然に改善しますが、赤ちゃん、特に生後6か月未満では重症化に注意が必要です。
基本的にはただの風邪と同じような症状で、自然に治ることが多いですが、
呼吸が苦しそう、ゼーゼーする、水分や哺乳量が減っている、ぐったりしている、熱が長期間続くといった症状がある場合は、早めに小児科を受診してください。
免責事項
※この記事は一般的な医療情報の提供を目的としています。実際の受診判断や治療方針は、お子さんの年齢、症状、基礎疾患、地域の医療体制によって異なります。心配な症状がある場合は、医療機関に相談してください。