子どもの食物アレルギー|食べた後に出る症状と受診目安を小児科医が解説

食物アレルギーの症状って、皆さんはどのくらい知っていますか?

食物アレルギーでは、食べたあとに体のいろいろな場所に症状が出ることがあります。

症状は大きく分けると、

・皮膚の症状
・呼吸器の症状
・消化器の症状
・全身の症状

の4つがあります。

これらの症状を知らないと、食物アレルギーに気づけないかもしれません。

食物アレルギーは、早く気づくことがとても大切です。
症状を見逃してしまうと、対応が遅れて、命にかかわることだってあります

だからこそ、ママ・パパには、食べたあとにどんな症状が出たら食物アレルギーを疑うべきなのか、知っておいてもらいたいのです。

この記事では、子どもが食べたあとに注意してほしい食物アレルギーの症状と、どんなときに受診すべきかを、小児科専門医がわかりやすく解説します。

食物アレルギーで出る4つの症状

食物アレルギーの症状は、大きく分けると4つあります。

皮膚の症状、呼吸の症状、お腹の症状、そして全身の症状です。

ここからは、それぞれの症状について説明していきます。

① 皮膚の症状

食物アレルギーで最もよく見られるのが、皮膚の症状です。

食物アレルギーの症状で最も多く、約90%で皮膚症状が出ます。

軽い症状だと

  • 口のまわりが赤くなる
  • 唇が腫れる
  • 数個のじんましんが出る

といった症状が出ることがあります。

このくらいの症状のみで本人が元気で、呼吸も普段通りであれば、ご自宅で経過を見て大丈夫なことがほとんどですが、食物アレルギーの可能性がありますので、それ以上食べるのはやめて、少なくとも1時間は症状が悪化しないかどうか見てください。

自然に症状が改善する場合には、そのままご自宅で様子を見て後日小児科で相談していただくので大丈夫ですが、1時間ほどしても症状が改善しない場合や、症状が悪化してくる場合には救急受診を考えてください。

一方で、

  • じんましんや赤みが全身に広がる
  • すごくかゆがる
  • まぶたや、顔全体が腫れる

などの場合には注意が必要ですので、早急に小児科を救急受診しましょう。

皮膚の症状は、受診する頃には消えていることもありますので、スマホで写真を撮っておくと、あとで小児科を受診したときにとても役立ちます。

② 呼吸器の症状

食物アレルギーで、特に見逃してほしくないのが呼吸器の症状です。
呼吸器の症状は、重症化すると命にかかわるため、注意が必要です。

軽いものだと

  • 鼻水がでる
  • くしゃみをする

等の症状があります。

鼻水やくしゃみだけで自然に改善してくるならご自宅で様子を見ても大丈夫なことがほとんどですが、食物アレルギーの可能性があるため、それ以上食べるのはやめて、少なくとも1時間は症状が悪化しないかどうか見てください。

一方で

  • 咳がでる
  • ゼーゼーする
  • 声がかすれる
  • 息が苦しそう

このような症状は注意が必要です。
こういった症状がでた場合は、すぐに救急受診してください。

食べたあとに咳が出たとき、ただの風邪やむせ込みに見えることもあります。
でも、食べた直後から明らかに咳が出てきた場合や、咳がだんだん強くなる場合は、食物アレルギーの症状かもしれません。

③ 消化器の症状

食物アレルギーでは、消化器(口・のど~腸管にかけて)の症状が出ることもあります。

軽い症状だと

  • 「気持ち悪い」と言う
  • 口やのどがイガイガする
  • 軽くお腹を痛がる

などの症状があります。

これらの症状は食物アレルギーの可能性があるため、それ以上食べるのはやめて、少なくとも1時間は症状が悪化しないかどうか見てください。こちらも自然に改善してくるようであれば救急受診はしなくても大丈夫なことがほとんどですが、今後同じものを食べても大丈夫かどうか、必ず小児科で相談はしてください。

一方で

  • 嘔吐する
  • 下痢が出る
  • お腹を強く痛がる

という場合には救急受診が必要です。

お腹の症状の場合、
「食べすぎかな?」
「たまたま胃腸炎かな?」
と思うこともあるかもしれません。

もちろん、食物アレルギー以外の原因で吐くこともあります。
ただし、食べてから短時間で吐いた場合や、同じ食べ物で繰り返す場合は、食物アレルギーの可能性も考えてください。

④ 全身の症状

全身の症状が出ている場合は、非常に危険なサインです。

  • 顔色が悪くなる
  • ぐったりする
  • ぼーっとする
  • 呼びかけへの反応が弱い
  • いつもと明らかに様子が違う

といった症状が出ることがあります。
このような症状があれば、すぐに救急受診してください。

症状は食べてから1時間以内に出ることが多い

食物アレルギーにはいくつかのタイプがありますが、圧倒的に多いのが「即時型食物アレルギー」というタイプで、食べたあとすぐに症状が出るタイプです。食物アレルギーのほとんどがこれです。

多くの場合、原因となる食べ物を食べてから、
数分〜1時間以内に症状が出ます。

遅くても、食べてから2時間以内に症状が出ることが多いです。

そのため、はじめて食べるものを試すときは、食べた直後だけでなく、少なくとも1〜2時間くらいは体調の変化を見ておくと安心です。

「食べてすぐは大丈夫だったから絶対に安心」とは限りません。
食後1〜2時間以内に、じんましん・咳・嘔吐・ぐったりなどの症状が出た場合は、
食物アレルギーの可能性を考えてください。

特に注意してほしいタイミング

食物アレルギーの症状が出ていないかどうか
特に注意してほしいタイミングが3つあります。

① はじめて食べるとき

はじめて食べるものは、少量から始めるのが基本です。
今まで食べたことがない食材では、食べてみるまで症状が出るかどうか分かりません。

特に、卵、乳、小麦、ナッツ類、魚卵、甲殻類などは、アレルギーの原因になりやすい食品として知られています。

はじめて食べるときは、

体調がいい日に食べる
少量から始める
平日の日中など、病院があいている時間に試す
・初めての食材を一度に何個も食べない
・食べたあとは1〜2時間ほど様子を見る

ことを意識しましょう。

② 今までより多い量を食べるとき

少量なら大丈夫でも、量が増えると症状が出ることがあります。

たとえば、
「今までは卵を少しだけ食べて大丈夫だった」
「うどん1口だけなら大丈夫だった」
という場合でも、量が増えたときに症状が出ることがあります。

食物アレルギーでは、食べた量によって症状の出やすさが変わるので
初めての食材だけでなく、今までより多い量を食べるときにも注意が必要です。

食べる量を増やすときは、急に大きく増やさず、少しずつ増やしていくようにしましょう。

③ 加熱の程度が低いものを食べるとき

これは食品にもよりますが、食物アレルギーでは、加熱の程度によって症状の出やすさが変わることがあります。

代表的なものはです。
しっかりと固ゆでした卵は大丈夫でも、玉子焼きや溶き卵ではアレルギー症状が出ることもよくあります。

そのため、今まで食べられていた食材でも、加熱があまい状態で食べるときは注意してください。

「同じ食材だから大丈夫」と思わず、加熱の程度が変わるときは、食後の様子をよく見ておきましょう。

軽い症状の場合はどうしたらいい?

軽い症状だけで、本人が元気な場合は、まずそれ以上食べるのをやめましょう。

繰り返しになりますが、

・口のまわりだけ赤い
・一部分だけじんましんがある
・少しかゆがる
・鼻水やくしゃみだけ
・軽い腹痛や吐き気だけ
・本人は元気
・呼吸は普段通り

このような場合は、必ずしもすぐに救急受診が必要とは限りません。
ただし、食物アレルギーの可能性はありますので、後日でもいいので必ず小児科を受診して、相談しましょう。

そのときに役立つのが、症状の記録です。
受診前に、次のことをメモしておくと診察がスムーズです。

・何を食べたか
・どれくらいの量食べたか
・食べてから何分後に症状が出たか
・どんな症状が出たか
・症状はどれくらい続いたか
・初めて食べたものか
・同じ食べ物で過去にも症状が出たか

受診する頃にはじんましんや赤みが消えていることもあるため、皮膚の症状は写真があると診断の助けになります。

強い症状の場合はすぐ救急受診

次のような症状がある場合は、すぐに救急受診してください。救急車を呼んでも大丈夫です。

・咳が続く
・ゼーゼーしている
・息が苦しそう
・声がかすれる
・犬が吠えるような咳をする
・嘔吐を繰り返す
・強い腹痛がある
・全身にじんましんが広がる
・顔色が悪い
・ぐったりしている
・ぼーっとしている

特に、呼吸器の症状や全身の症状がある場合は、様子を見すぎないことが大切です。

「これくらいで救急に行っていいのかな?」と迷うかもしれません。
でも、食物アレルギーは悪化すると命にかかわることがあります。
食べたあとに呼吸が苦しそう、顔色が悪い、ぐったりしている場合は、救急車を呼んで大丈夫です。

自己判断で完全除去しすぎないことも大切

食物アレルギーが心配になると、原因かもしれない食べ物を全部避けたくなるかもしれません。
もちろん、症状が出た食べ物をそのまま食べ続けるのは危険なことがあります。

一方で、自己判断で長期間完全除去を続けると、逆に食物アレルギーが治りにくくなる可能性もあります。

食物アレルギーの治療では、

  • 症状が出てしまうほどの量は食べないようにすること
  • でも、必要以上に除去しすぎないこと

の両方が大切です。

「何をどこまで避けるべきか」は、症状の出方、食べた量、検査結果、年齢などによって変わります。
心配な場合は、自己判断で続けるのではなく、小児科専門医やアレルギー専門医に相談してください。

まとめ

食物アレルギーは、皮膚にでるじんましんだけではありません。
咳やゼーゼーといった呼吸器の症状嘔吐や下痢などのお腹の症状フラフラしたり顔色が悪くなる全身の症状があります。

多くの場合、症状は食べてから数分〜1時間以内に出ます。
遅くても2時間以内に出ることが多いため、食べたあとしばらくは様子を見ておくことが大切です。

特に、
・はじめて食べるもの
・今までより多い量を食べるとき
・加熱の程度が低いものを食べるとき

は注意して観察しましょう。

食物アレルギーは、早く気づくことがとても大切です。
気になる症状があった場合は小児科で相談してください。


免責事項

この記事は、子どもの食物アレルギーについて一般的な情報をまとめたものです。実際の診断や治療は、お子さんの年齢、症状、既往歴、診察所見によって異なります。
強い症状が出た場合にはすぐに医療機関を受診してください。