子どもが
「鼻水がずっと出る」
「目をかゆがる」
「風邪にしては長い」
という症状をくり返している場合、
それは花粉症かもしれません。
「花粉症って大人の病気じゃないの?」
と思われるかもしれませんが、実は子どもの花粉症は珍しくありません。
最近は小さな子供の花粉症が非常に増えてきています。
2019年の全国疫学調査では、5〜9歳のスギ花粉症の有病率は30.1%と報告されています。つまり、5〜9歳では約3人に1人がスギ花粉症ということになります。
この記事では、小児科医の立場から、
子どもの花粉症の症状、風邪との見分け方、治療、受診の目安をわかりやすく解説します。
子どもでも花粉症になります
花粉症は、花粉に対するアレルギー反応で起こります。
鼻の粘膜や目に花粉がつくことで、花粉に対してアレルギー反応を起こします。
その結果、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどが出ます。
大人に多いイメージがありますが、子どもにも起こります。
特に最近は、子どもの花粉症が増えているといわれており、2019年の全国疫学調査では、5〜9歳の約3人に1人がスギ花粉症と報告されています。
一方で、4歳以下では比較的少なく、0〜4歳のスギ花粉症の有病率はたったの3.8%でした。
ただし、4歳以下でも絶対に花粉症にならないわけではありません。
症状の出方や時期によっては、花粉症を疑うこともあります。
子どもの花粉症でよくある症状
子どもの花粉症では、次のような症状がよく見られます。
- くしゃみが多い
- 透明でサラサラした鼻水が続く
- 鼻づまりがひどい
- 目がかゆい
- 外に出ると悪化する
- 毎年同じ時期に症状が出る
特に、目のかゆみは花粉症を疑う大きなポイントです。
風邪でも鼻水や鼻づまりは出ますが、目のかゆみが強い場合は、花粉症などのアレルギー性鼻炎を考えやすくなります。
また、花粉症は風邪と違って、数日で終わらず、花粉が飛んでいる期間中ずっと症状が続くことが多いです。
風邪と花粉症の見分け方
子どもの鼻水が出ているとき、保護者の方が一番迷うのが、
「これは風邪?それとも花粉症?」
という点だと思います。
大まかな見分け方は以下です。
| 花粉症 | 風邪 | |
| 目のかゆみ | よくある | あまりない |
| 鼻水 | 透明・サラサラ | 色がついてネバネバ |
| 期間 | 数週間〜数か月 | 1週間前後が多い |
| 時期 | 毎年同じ時期 | 季節に関係なく起こる |
| 外出 | 外で悪化しやすい | あまり関係ない |
| 熱 | 基本的に出ない | 出ることもある |
もちろん、これだけで完全に判断できるわけではありません。
花粉症の時期に風邪をひくこともありますし、風邪のあとに鼻症状だけ長引くこともあります。
ただ、
「毎年同じ時期」+「透明な鼻水」+「目のかゆみ」+「外で悪化」
がそろう場合は、花粉症の可能性は非常に高いです。
花粉症は血液検査だけでは診断できません
花粉症の診断では、血液検査でスギやヒノキなどに対するアレルギー反応を調べることがあります。
ただし、ここで大事なのは、
血液検査が陽性だから花粉症と単純に決まるわけではないということです。
花粉症は、
「実際に花粉のせいで症状が出ている」かつ「血液検査で花粉のアレルギー検査が陽性である」
の2つがそろって初めて診断されます。
逆に、血液検査でスギが陽性でも、スギ花粉の時期に何も症状がなければ、花粉症ではありません。
血液検査で花粉のアレルギー検査が陽性の方のうち、約50%に花粉症の症状があるといわれています。逆に言うと、血液検査で陽性でも半分は花粉症の症状がない(つまり花粉症ではない)ということになります。
繰り返しになりますが、血液検査だけで花粉症は診断できません。
家でできる花粉症対策
大切なのは、
できるだけ自宅に花粉を持ち込まないこと
です。
お家でできる対策としては、次のようなものがあります。
帰宅後は着替え・うがい・鼻をかむ
外から帰ってきた服や髪には、花粉がついています。
帰宅後は、髪をよく払い、できれば着替えて、うがいをして、鼻をかむようにしましょう。
また、毛羽立ったコートや衣類は花粉が付着しやすいので、避けるようにしましょう。
花粉が多い日は窓を開けっぱなしにしない
換気は大切ですが、花粉の多い時期に窓を長時間開けていると、室内に花粉が入りやすくなります。
花粉が多い日は、窓を開ける時間を短くするなどの工夫がおすすめです。
洗濯物は外に干さない
外干しした洗濯物には花粉がつきます。
花粉の時期は、できるだけ室内干しや乾燥機を使うとよいです。
子どもの花粉症にも薬は使えます
子どもの花粉症でも、年齢や症状に応じて薬を使うことがあります。
代表的な治療には、
- 飲み薬
- 点鼻薬
- 点眼薬
があります。
鼻水、くしゃみ、鼻づまりが強い場合は飲み薬や点鼻薬、
目のかゆみが強い場合は点眼薬を使うことがあります。
薬は、症状が出てから使うこともありますが、花粉症では
症状が強くなる前から治療を始めた方が楽になることが多いです。
血液検査と症状から原因となる花粉が特定できており、毎年つらくなる時期がわかっている子では、花粉が本格的に飛ぶ前から治療を相談しておくとよいです
毎年つらい花粉症には、舌下免疫療法という選択肢も
花粉症の治療には、症状をおさえる薬だけでなく、体質そのものに働きかける「舌下免疫療法」という治療もあります。
舌下免疫療法は、アレルギーの原因となる成分を少量ずつ体に慣らしていく治療です。
日本では現在、スギとダニのアレルギーに対する舌下免疫療法が保険診療で可能です。
スギ花粉症では、スギ花粉の成分が入ったお薬を、毎日舌の下に置いて服用します。
通常の花粉症の薬は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどの症状をおさえる治療です。
一方で、舌下免疫療法は、根本的にアレルギー反応を起こしにくくすることを目指す治療です。
うまく合えば、
「毎年の花粉症が軽くなる」
「薬の量を減らせる」
「花粉の時期が少し過ごしやすくなる」
といった効果が期待できます。
ただし、すぐに効く治療ではありません。
治療は毎日、数年間続ける必要があるため、本人と保護者の協力がとても大切です。
アレルゲン免疫療法は、一般に3〜5年を目安に継続する治療とされています。
本人の協力も必要であり、基本的に5歳以上のお子様で行うことができます。
また、スギ花粉症に対する舌下免疫療法は、花粉が飛んでいる時期には開始できません。
初回は、スギ花粉が飛散していない時期に、医師の監督のもとで服用を開始する必要があります。
子どもでも行える治療ですが、
「毎日きちんと続けられるか」
「舌の下に薬をしばらく置いておけるか」
などを確認したうえで、開始するかどうかを判断します。
毎年花粉症の症状が強いお子さんや、薬を使ってもつらそうなお子さんでは、舌下免疫療法が選択肢になることがあります。
気になる場合は、小児科、アレルギー科で相談してみてください。
こんな時は小児科へ相談してください
花粉症は命に関わる病気ではありませんが、症状が強いと生活の質がかなり下がります。
次のような場合は、小児科で相談してください。
- 鼻づまりで眠れない
- 目をこすりすぎて赤い
- 毎年同じ時期につらそう
- 勉強やスポーツに集中できない
- 何のアレルギーか調べたい
- 風邪なのか花粉症なのかわからない
特に、鼻づまりが強くて眠れない場合は、日中の集中力や機嫌にも影響します。
薬でかなり楽になる子も多いので、つらそうであれば相談してください。
まとめ
子どもでも花粉症になることがあります。
特に、
- くしゃみが多い
- 透明な鼻水が続く
- 目をよくこする
- 外に出ると悪化する
- 毎年同じ時期に症状が出る
という場合は、花粉症かもしれません。
花粉症は、風邪と違って長く続きやすく、睡眠や集中力にも影響することがあります。
薬でかなり楽になることも多いので、気になる場合は小児科で相談してください。
免責事項
この記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。実際の診断や治療は、お子さんの症状や診察所見によって異なります。気になる症状がある場合は、医療機関でご相談ください。